ガソリン代を従業員へ支払う場合
従業員の車を借りて仕事をしてもらうということは、実務上ありますよね。
ガソリン代を従業員へ支払う場合は、2パターンあります。
ガソリン代を従業員が立て替えて、
- ガソリン代の実費を従業員へ支払う場合
- ガソリン代の実費相当額を従業員へ支払う場
があります。
1、ガソリン代の実費を従業員へ支払う場合
1、ガソリン代の実費を従業員へ支払う場合は、ガソリンスタンドが、インボイスに対応しているかどうかに依存します。
- ガソリンスタンドがインボイスに対応していれば、仕入税額控除ができて
- ガソリンスタンドがインボイスに対応していなければ、8割控除になります。
つまり、ガソリン代の実費を従業員へ支払う場合は、
ガソリンスタンドがインボイスの登録事業者であるかどうかによって、仕入税額控除の額が変わる。
と覚えておいてください。
そのため、インボイスの要件を満たしたガソリンスタンドを、事前に決めておかれることをお勧めします。
ガソリンを入れる場合は、どこどこのガソリンスタンドを使うようにしましょう!!
みたいな感じです。
2、ガソリン代の実費相当額を従業員へ支払う場合
ガソリン代の実費相当額を従業員へ支払う場合としては、従業員のマイカーを業務で利用させてもらった場合、使用したガソリン代の算出が難しいため、走った距離に応じた支払いをするために、よく利用されています。
会社によっては、
- 一般乗用車の場合は1リットル30円
- 軽自動車の場合は1リットル20円
などの規定を定め、距離に応じて従業員へ支払うことができます(会社によっては車種による区別をされていない会社もあるようです)。
なお、この負担額があまりに大きいと、給与課税という話にもなってしまいますため、ご注意ください。
たとえば、従業員の車を借りて、1キロ先のお客さんの会社を往復した場合、2キロ走行したことになります。
車を貸してくれたお礼ということで、100万円をその従業員へ渡した場合、ガソリン代の実費相当額とは言えないですよね??
そのような場合は、給与課税されることになる可能性が高いのは、当然です。
ガソリン代の実費相当額といえるには、社会通念上、妥当な金額である必要があります。
では、従業員のマイカーを仕事で借りた場合、
会社から従業員へガソリン代相当額を支払いますが、
ほとんどの従業員は、個人で事業をしている訳ではなく、給与所得者であるため、インボイスの登録事業者ではありません。(一部の給与所得者(サラリーマン)は、副業で、インボイスの登録事業者になられている方もいるとは思いますが)
では、
- インボイスの非登録事業者である従業員へ、
- ガソリン代相当額を支払った場合は、
- 仕入税額控除は80%に制限されるのでしょうか?
これを考える大前提として、インボイスには特例がありましたよね。
- 出張旅費特例
- 公共交通機関特例
- 自動販売機特例
- 入場券等回収特例
ガソリン代は、上記4つの特例の対象として、明記はされていません。
であれば、
- 会社が
- インボイスの非登録事業者である従業員へ
- ガソリン代相当額を支払うと、
- 会社は仕入税額控除額80%に制限されるべき
との考えになります。
しかしそれでは、
出張日当は出張旅費特例の対象であり、立替金精算書で【出張旅費特例適用の旨】と記載をすれば、インボイスの非登録事業者である従業員へ出張日当を支払ったとしても、仕入税額控除ができる点
と相反することになります。
インボイスの非登録事業者である従業員へ支払う出張日当は、仕入税額控除ができて、
インボイスの非登録事業者である従業員へ支払うガソリン代相当額は、仕入税額控除ができない。。
上記は何が違うのでしょうか。インボイス制度の制度設計おかしくなりですか??
では、
出張旅費特例を再度見てみましょう。
出張旅費特例とは?
では、改めて、出張旅費特例とは、
- 社員に支給する
- 出張旅費
- 宿泊費
- 日当
- 等 のうち、
- その旅行に通常必要であると認められる部分については、
- 一定の事項を記載した帳簿のみの保存で
- 仕入税額控除が認められる特例
です。
従業員へ支払うガソリン代相当額は、上記の出張旅費特例には明記はされてはいませんが、
- この出張旅費特例の【等】に該当すると考え、
- ガソリン代相当額を
- 会社から従業員へ支払う場合は、
- 立替金精算書に計上し、「出張旅費特例適用の旨」の記載をして、
- 仕入税額控除が可能と考えても問題はないのではないか
と考えられます。
国税庁には、より単純化した制度設計をお願いしたいものです。
この記事は、税理士サンタ🎅さんの監修の元、作成しました。
税理士サンタ🎅さん、ありがとうございます☆